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2014年10月25日 (土)

タンノイ オートグラフを評価する,その1

久しぶりの記事になります。
一年余りの放置ご容赦m(_ _)m

......

数年前のこと、全く些細なきっかけで知り合うことが出来た隣町のK先生、たいした事前情報もなく訪れてみたそのリスニングルームに鎮座していたのはなんとも状態の良いタンノイ オートグラフなのでありました。
そしてその音と、更に長年に渡る真摯な取り組みの様子を知った私はそれからK先生のお宅に度々お邪魔することとなり、そしてついに今年になってユニットを非常に状態の良いモニターレッドに換装されて鳴らしこみも完了したとの事、先般その音を聴かせて頂いて、ああこれはもうオートグラフの完成形だよなあと染み染み聴き入ってしまったのです。

そうしてK先生からはそれなら感想文を書けとの宿題を賜り(^^;;自分がこの音を説明しようとしても文字にできないから代わりに書けと、まあそのようなご要望を頂きましたので仕事の合間にちょこちょこ書き帰ってからは一杯やりながらまた書きと、それでこのブログ主の体質ですから書き出したら止まらないやめられない正にかっぱエビセン体質(笑)書いてる内にネタがポンポンとエンドレスに出てきます。

以下はそんな感想文となりますが、なにしろ今となっては手元にロク資料も残っておりませんから本人の記憶のみの記述となっております。

乱筆乱文ご容赦賜りつつ、お好きな人は読んでみてください。

Image

......

1,オールホーンシステムの功罪

オートグラフのウーファー部分、低音域はフロントショートホーンとリアバックロードホーンの二つのホーンにより構成されている。二つのホーンはメカニカルにクロスオーバーされる。
この内フロントショートホーンはユニットの前面、言うまでもなく円形のコーン紙エッジ部分をやや塞ぐ形での方形からスタートするホーンとなっており、ここの始まり部分での僅かなマスキングはローカットフィルターとして機能する。

このような形状のホーンは他の著名なホーンシステムでも見ることができる。すなわちALTEC ボイス オブ ザ シアター A1からA7に至るシリーズであり、またJBL 4550/4560のシリーズなどがある。
この場合のローカットの意義は最低音域をある程度の所でスパッと諦め必要な音域をより遠くまで飛ばすための手法であると言える。即ちこれは本来はPA用途での技術であり、前述のALTEC/JBLシステムが実際に使われる現場の事を考えてみれば容易に理解できるはずである。
これらではエネルギー感としての低音は遠方まで非常に効率的に届くが冷静に聞き分けてみると概ね40Hz以下の超低域成分はスッパリ切り落とされてることがわかる。
この事は一見オーディオ的には疑問視される向きもあろうがPAの現場では必要な事なのであり、ここでの無用な最低域はマイクのハウリングの要因となるし何よりも生演奏の場での音のキレを阻害する要因ともなり得る。

次にもう一方のリアバックロードホーンに目を向けてみる。
オートグラフのような複雑なバックロードホーンに類するものとしてはJBL パラゴン/ハーツフィールド/4520、Vitavox CN191などがあり、この内4520のみはPA用として供されたが他は皆ホームオーディオとしての用途である。
(4520に関しては構造上コスト高である事からPAの現場では大きく広がりを見せることなくフェードアウトして行った)

PA用途としてのホーンシステムの考えはより大きなエネルギーをより遠方まで届けることであることは先に述べた。そのため周波数特性に関してはある程度目をつぶっていたと言うことも同様。
これがホームオーディオとして限定するならば必要以上に最低域をカットする理由は無くなる。勿論ホーンには設計上カットオフ周波数と言うものが存在するため無限に低域を広げることは不可能なわけだが。

このように、オートグラフに於いてはローカットしたフロントショートホーン、自由にカットオフを設定できるバックロードホーン、そしてデュアルコンセントリックユニットそのものの高域ホーンと言う三つのホーンが組み合わされる構造となっている。
これらのホーンによる帯域の分担では、ホーン同士の部分的な重複に起因するものあるいは相互の干渉によって部分部分での位相差の発生は避けられないことであり、この点こそがオートグラフの唯一の克服不可能な弱点であろうと考える。
もっともこの点に関しては、他のシステムではオートグラフが単音源であることに対し複数の音源を持たざるを得ないその構成上から問題はさらに複雑かつ深刻なものとなるわけであり、同軸構造のデュアルコンセントリックユニットを使用するオートグラフこそがこの問題に対する最適な解となり得るわけだが、それでもホーン相互の干渉による問題は残ると言うことである。何もオートグラフだけに問題があるわけではない事は強く記しておく。

次に、かつてのオートグラフ、パラゴン/ハーツフィールド等が輝きを放っていた時代では、世界には他にも様々なホーンシステムが存在していた。そしてそれらは必ずしもオールホーンシステムであるとは限らず、特に低音域に於いてはより簡略的な密閉箱あるいはバスレフ箱も多用されていて高音部のみをホーンが受け持つ形となっている場合も多かった。

ここで、ユーザーの側から両者を分ける時の選択基準はどう言うものであったのだろうか?

この時代、既に各社の強力なユニット群はホームオーディオ用として供されるのと同時にPA用途としても大いに活躍している。
それらに関する資料は残念ながらウエスタン エレクトリック系列のもの以外、特にヨーロッパ各社のものに関してはほとんど残っていないのが現状だが、それでもその当時のそれぞれの現場でこう言ったユニット群が多用されていたであろう事は明らかな事実であろうと思う。

なにしろそもそもの高効率スピーカーの研究/開発は軍用を目的としたものであったから、その技術が民生へと降りさらに家庭に持ち込まれるのは順番としては最後になることは明らかだからだ。
戦後になってから暫くして突如として欧米各国でこのような大掛かりなシステムが登場した背景はそんなところにある。つまり戦時中に既にほとんどの技術的な問題はクリアされていた。それを民生用として形を成すために少しの年月が必要であったと言うことだ。それまでの軍需一辺倒ではほとんと無制限の予算の元で開発を進めることができたのに対し、戦後の体制変更に即応して民需へとスイッチを切り替える際にはそう言った予算面での制約が大きかったであろうことも容易に想像できる。

そうしていよいよ家庭へと持ち込まれたこれらのシステムは当初は懐古的な外装仕上げを纏い、戦後の好景気に沸く戦勝国の富裕層へと徐々に浸透して行く。
この流れは次第に中層階級へもと続いたのだがこの間に恐らく金額的な問題、そしてシステムの大きさと言う問題が発生したことで次第にウーファー箱を簡略化する方向となったようだ。
タンノイで言うところのコーナーヨークからレクタンギュラーヨークへ、そしてⅢ LZへと言うような流れである。

なるほどミリタリースペックそのままを維持しながら家庭用として設えた初期のオールホーンシステムが持つあまりのオーバースペックは民衆の家庭に於いては全くの無用の長物と判断されたのかも知れないし、むしろ効率良く大量生産して廉価な品を発売することはメーカー/購買層両者の理には叶っていた。なにしろタンノイに於けるそれらの廉価品の中に収まるデュプレックスユニットは惜しげも無くオートグラフと全く同じものが使われていたわけだから。

ユニットは同一であり、箱の違いはそう大きな問題ではない、多くの人々はその謳い文句に納得し遥かに廉価となったそれらの品を喜んで買い求めたことであろう。

しかしここで、ほんの僅かな人々だけは少し違った考えを持つようになっていたようだ。それらの品とオートグラフを改めて比較することで彼らはオートグラフだけが持つオールホーンシステムであるが故の危険な香りに今更ながらに気づき、そしてその事でオートグラフに対し益々魅了されて行くことになるのである。

複雑なホーンを捨てた他のシステムが失ったものは、実は余りにも大きなものであったのだと言うことだ。
その危険な香りに気づいた者だけが今も真のデュアルコンセントリックの魔の魅力を堪能していられるわけである。

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コメント

祝再開、放置新聞ならぬ放置ブログ(^^
今年の旧車祭は12/7です。

gopさん、放置しっぱなしどうもすいませんm(_ _)m
気が向いたので再開してみましたが、はていつまで続くやら。

Jobyさんコメントありますか?やんちゃ娘がだいぶ育ってますよ(^ ^)

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