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2014年11月 3日 (月)

4.一方の、真っ向から立ち向かう人 その1

......

ウェスタンを始めとする過去の先駆的な技術者達が、そのほんの黎明期であるに過ぎなかったはずの時代に既に完成させてしまったかのようにも思える、それ程までに優位性を誇ったこのホーンシステムは、あるいはこの時代でもうとっくに完結していたと考えた方が良かったのかも知れない。
もちろん技術面での僅かな弱点は確かにまだ残ってはいたが、それは後の世の研究改良によってどうにでも補完して行けるレベルのものであったろうと思う。

ところが、そもそもこれだけの高レベルからスタートして時代と共に更に洗練されて行くはずだったこの高貴なるものと表現して良いであろう音世界は、実際にはその後の時代の波あるいは時代の変化と言ったものには乗り切れずに(現実的には当初の技術レベルが継承されること無く)結局はどこかに埋れて行くことになるわけだが、しかしその最初から余りにも完成されていた音世界は、これはもちろん後の世の技術者にとっては大きな壁でもあったと同時に、この間のいくつかの新たな挑戦を生むための土台ともなっていた事をここで記しておきたい。

ウェスタンの時代以前に既に、スピーカーを理想的に鳴らすための理論の中には実はこのホーンシステム以外にもあと二つの方法が存在していた。そのひとつは無限バッフルと言う考え方。
これは理論的に言うと無限大の平面バッフルにスピーカーユニットを取り付ける事で背面から放射される音成分を完全に遮断しようとするものである。無論無限大を現実化することは不可能であるわけだが、その近似値を実現するやり方は三つある。

最初のひとつは所謂プレーンバッフルと呼ばれるもので、この無限バッフルを有限化したものである。
限られたサイズの平面バッフルを部屋に設置しそこにユニットを取り付ける事で無限バッフルの持つ理想的(であろう)特性の片鱗を伺おうとする方法であると言える。
これはかつてはステレオサウンド誌でも実際に製作したことがあり、記憶では2400mm角のプレーンバッフルにALTEC 604-8Gを収めていたと思う。
2400mm角とは、要は四畳半の壁一面の大きさとなる。これを左右二枚。当然その間にはある程度の空間も必要で、この音を聴くための環境としてはとりあえずバッフル前面方向にはバッフル設置面積の最低1.5倍長、つまりは四畳半に中間部分の余裕を考えて八畳、これの二つに対し1.5倍長であるから少なくとも24畳は必要な計算となる。
......そんなお部屋お持ちの方って何人おられるんでしょう?(^^;;

ステレオサウンド社の視聴室はそれなりに大きなものであったことは良く知られているが、このプレーンバッフル時代にはそれでもさすがに狭かったと言う現実的な感想を述べる方もおられたように記憶している。
実際、これはプレーンバッフルを経験してみれば容易に理解できることなのだが、これを設置する場合に最も重要となる要素は実は背面の壁との距離をどう取るのか?と言う点になって来るのである。
この時の距離は実際には思ったよりもかなり多くを要するものなのだ。有限バッフルでは背面からの反射音の影響を抑えるために要する距離が最低でもバッフル面の大きさ分は必要となる。
つまり、背面側にも更に八畳x2の空間が必要となり、先の計算結果にこれを加えて総計40畳と言うとてつもない広大な部屋が必要になってしまうことになる。
更に更に、これをオーディオ的に考えるならばプレーンバッフルと部屋の側壁との距離を取る必要性もあり、そうなると天井高の問題も必然的に付随して来るわけで、これを考慮した計算結果は、.......いやもう計算するの嫌( ;´Д`)

とりあえずこの話は、Quad ESLのオリジナルを使った経験のある方なら容易に理解できましょう。

さあさっさと次に行きます(^^;;

続くひとつは所謂 壁バッフル と言うもので、住宅の広い一部屋の中間に新たに壁を設置しそこにユニットを取り付ける。背面側は多少狭くはなるがそのまま部屋として使って差し支えない。あるいは二つの部屋の境界となる壁をバッフルとして仕立て直す形でも良い。
ただしこれは文章として書くと甚だ簡単なものになるのだが実現するのは容易なことでは無いのは明らか。
しかもこの場合の壁が住宅の強度部材としての役割からは完全に切り離される必要があると言う点でもって、この事が実現性と言う面では大きな、文字通りの壁となる。

もう一つはスピーカーキャビネット自体を壁に埋め込んでしまうと言うものであり、バッフル面と壁面をツラに揃えれば確かに理論に近いものにはなる。これは大昔の吉祥寺ファンキーで見た記憶がある。1Fの、あれはD130+175DLHであったか?

そしてもう一方が無限容積の密閉箱となるわけだ。
一般的な大きさの密閉箱では限られた容積の中での背面からの放射音による反射や圧の影響で本来の外面への放射音に対しても様々な弊害を引き起こすわけだが、ならばその容積を無限大にしてしまえばその心配は無くなると言うのがこの理論である。
もちろんこれにも実現性は無いのは明らかなので、この場合は容積の制約がスピーカーの特性に与える影響をほぼ無視できる範囲に収めた上でのキャビネットの大きさとの関係を最大公約数として求めたJIS指定箱と言うものが存在する。
この箱の用途としてはユニットの特性をカタログに記載するために測定する時これを用いると言うことになっていて、つまりはこのJIS箱を自作してやればカタログ値の特性を実現できる、言い換えればメーカーが意図した音そのものを自分の部屋でも再現できると言うことになるわけであり、実際私も若い頃にロクハン(16cm)一発用にこれを作ろうかと考えたこともあったが、いざ寸法を調べてみた時には既にその箱の大きさはあまりにも非現実的な大きさである事に気付き大いに落胆したものである。
こんなもん、当時の住処であった四畳半とか六畳間にはとてもとても置けるわけはないのだから......(´Д` )

前振りが長くなってしまったが、ここではこの最後の密閉箱に挑戦した人が居たと言う話を始めたい。
この人の密閉箱は、実はオールホーンシステムに対する挑戦であったと言い換える事もできるように思えるからだ。

話の主は、そう、一ノ関ベイシーの菅原さんのシステムである。

長くなってしまったのでこの話は その2 へと続けることにする。

......

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その2鶴首しています。お忙しいでしょうが、おまちしておりますよ。

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